不倫をされたとき、「配偶者だけでなく不倫相手にも慰謝料を請求できるのか」と悩む方は多いでしょう。実際には、条件を満たせば不倫相手にも慰謝料を請求することは可能です。
本記事では、その法的な根拠や注意点、配偶者との違いについてわかりやすく解説します。
不倫相手に慰謝料を請求できる法律的根拠とは
不倫相手に慰謝料を請求するには、法律で定められた一定の条件を満たす必要があります。
不貞行為は不法行為として損害賠償の対象になる
民法では、配偶者以外と性的関係を持つことは「不貞行為」として不法行為に該当します。不法行為があった場合、精神的苦痛を受けた配偶者は加害者(この場合は不倫相手)に対して損害賠償、つまり慰謝料を請求することができるとされています。つまり、法律上は不倫相手も責任を負う立場にあるのです。
婚姻関係の継続が請求の前提条件
慰謝料請求には、当時あなたと配偶者が婚姻関係にあったという事実が必要です。もしすでに婚姻関係が破綻していた(別居や離婚協議が進んでいた)場合には、不倫相手への慰謝料請求が認められない可能性があります。請求を行う前に、婚姻関係の継続があったかを確認しておくことが大切です。
不倫相手が既婚者だと知らなかった場合の扱い
不倫相手が、配偶者が既婚者だと知らずに関係を持っていた場合には、慰謝料請求が認められないことがあります。
裁判所は「故意または過失」があったかどうかを重視します。つまり、「知らなかった・知るべきではなかった」と判断されれば、不倫相手に責任があると見なされないケースもあるのです。
配偶者に対する慰謝料請求との違い
不倫相手と配偶者では、慰謝料請求における法的な立場や扱いが異なることがあります。
訴額や請求できる慰謝料の金額の違い
慰謝料の金額は、基本的に不倫によって受けた精神的苦痛の大きさによって決まりますが、一般的に配偶者に対しての請求のほうが金額は高くなる傾向があります。不倫相手への請求は、相手が既婚者であることを知っていたかどうかでも左右され、条件によっては減額されることもあります。
責任の重さに違いはある?
法的には不倫をした両者(配偶者と不倫相手)に責任がありますが、実務上は配偶者に対してより重い責任が問われることが多いです。なぜなら、配偶者はあなたとの婚姻契約を守る義務を負っており、それを破った点で法的・道徳的な責任が大きいとされるからです。
ダブル請求(二重請求)はできるのか
不倫相手と配偶者の両方に対して慰謝料を請求することは可能ですが、合計額が相場を超えて高額になることはまれです。
裁判では「共同行為」による被害とされ、2人に連帯して支払いを求める形になることが多く、どちらか一方から全額を回収できれば、もう一方には請求できないケースもあります。
慰謝料請求の具体的な流れ
実際に不倫相手に慰謝料を請求するには、手順をしっかり踏むことが重要です。
「内容証明」での請求手続き
まずは不倫相手に対して内容証明郵便を使って慰謝料を請求します。内容証明とは、誰が誰に、いつ、どんな内容で送ったかを記録に残せる郵便のことです。この文書には、不倫の事実や慰謝料の金額、支払い期限などを記載します。証拠がある前提で送ることが望ましく、感情的にならず事実を丁寧に伝えるようにしましょう。
交渉がまとまらない場合「家庭裁判所の調停」
不倫相手が慰謝料請求に応じない場合、交渉が長引いたり無視されることがあります。そのようなときは、家庭裁判所の調停を申し立てることができます。調停では、第三者(調停委員)が中立的な立場で間に入り、話し合いを進めてくれます。裁判ほど厳しくはなく、費用も比較的安く済みます。
調停でもまとまらなければ「裁判」
調停でも解決しない場合は、裁判で争うことになります。裁判では、証拠の提出や主張の明確化が求められます。LINEのやりとり、写真、探偵の報告書などが有効な証拠になります。また、請求額の根拠や精神的苦痛の内容についても整理しておくと、裁判官にあなたの主張が伝わりやすくなります。
不倫相手に慰謝料を請求する際の注意点
慰謝料請求には法律的な制約やリスクもあるため、注意が必要です。
証拠の重要性と具体例
不倫相手に慰謝料を請求するには、不貞行為があったことを証明する確実な証拠が必要です。証拠として使えるのは、ラブホテルの出入り写真、LINEやメールのやりとり、探偵による調査報告書などです。これらは客観的かつ継続的な関係が示されていることがポイントです。証拠が不十分だと、請求が認められないこともあるため注意しましょう。
逆に名誉毀損で訴えられないために
不倫相手に対して、証拠がないのに名指しで責めたり、SNSに実名を出して晒したりすると、逆に名誉毀損やプライバシー侵害で訴えられるリスクがあります。たとえ不倫の事実があったとしても、公の場で個人情報を拡散するのは控えるべきです。感情的にならず、冷静に対応することが大切です。
精神的負担を軽減するための工夫
慰謝料請求には大きなストレスが伴います。精神的な負担を少しでも軽くするためには、信頼できる人に相談したり、法律の専門家に依頼したりすることが効果的です。また、自分の気持ちを日記に書くなど、感情の整理をすることも役立ちます。無理をせず、自分の心の健康を守ることも忘れないようにしましょう。
慰謝料請求を有利に進めるためのポイント
慰謝料請求を成功に導くには、戦略的な準備と冷静な判断が不可欠です。
弁護士に依頼するメリット
慰謝料請求に慣れていない場合は、弁護士に依頼することでスムーズに進められます。弁護士は法律に基づいて適切な手続きを代行してくれるだけでなく、相手との交渉も任せることができます。また、感情的なやり取りを避けられるという精神的なメリットもあります。
冷静な対応と記録の徹底
慰謝料請求を有利に進めるためには、冷静に状況を把握し、相手の発言や行動を正確に記録しておくことが重要です。日記、通話記録、メールの保存など、後から証拠となる情報はできる限り残しておくようにしましょう。記録が多いほど、説得力のある主張が可能になります。
成功事例から学ぶ戦略
実際に慰謝料請求が成功した事例から学ぶことも効果的です。たとえば、証拠の取り方や交渉の進め方、相手の反応にどう対処したかなどを知ることで、自分が同じ状況になったときに落ち着いて対応しやすくなります。法律相談サイトや弁護士のブログなどに掲載されている事例を参考にするとよいでしょう。
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